脳の血管が詰まると、その先に血液が流れなくなり、脳細胞に栄養や酸素が供給されなくなります。この状態が持続することで、脳細胞の壊死(脳梗塞)が起きます。
脳梗塞は発症のしかたによって主に次の三つの種類に分けられます。
1.ラクナ梗塞
脳に入った動脈は末しょうに向かい細かく枝分かれしていきます。この末しょうの動脈に高血圧などで高い圧が加わり続けると、血管壁の障害が起こり、動脈硬化が生じます。そこに血栓(血液の塊)が詰まって発症するのが「ラクナ梗塞」です。
日本人ではこのタイプの脳梗塞が最も多くなっています。末しょうの血管が詰まるため、梗塞巣(脳細胞が壊死した範囲)も15ミリ未満と小さいのが特徴です。高血圧が最大の原因ですが、最近では糖尿病が原因になる場合も増えています。
2.アテローム血栓性脳梗塞
頭蓋内の大きな動脈や脳に血液を送る頚部の動脈壁内に余分なコレステロールなどが沈着(アテローム硬化)して、血管の内腔が狭くなり血液障害を生じます。ここに血栓ができて詰まる場合と、この部の血栓がはがれ、その先の血管を詰まらせるのが「アテローム血栓性脳梗塞」です。この場合は大きな血管が詰まりますが、梗塞巣はあまり大きくならないのが特徴です。
これは動脈硬化が徐々に進行するため、その部分を通らなくても脳に十分な血液を送れるように他の血管が発達してくるためです。
高血圧のほか糖尿病や高脂血症などが原因となります。
3.心原性脳梗塞
心疾患があると、心臓の内側に血栓ができることがあります。その血栓が血液の流れに乗って一気に脳まで運ばれて、脳の血管に詰まってしまうのが「心原性脳梗塞」です。
原因となる心臓病は不整脈の一種である「心房細動(心臓が不規則な拍動を繰り返す)」が最も多く、心原性脳梗塞の約7割を占めています。その他、心臓弁膜症や心筋梗塞があっても、心臓内の血流が停滞して心臓内に血栓ができることがあります。
アテローム血栓性脳梗塞と異なり、突然血管が詰まるため、大きな梗塞巣ができやすく、他のタイプの脳梗塞と比べ、意識障害を伴ったり、死亡する割合が高くなっています。