食後しばらくたってから右のみぞおちあたりに、キリキリと差し込むような痛みを感じたことはありませんか。実際、痛みも数十分から3時間程度で治まるのでそのままにしている人が多いようですが、これは胃腸の疾患ではなく胆石によって引き起こされている場合があります。
体の中に胆石を持っていることを、専門的には「胆石症」といい、現在日本では500万~600万人の胆石症の患者さんがいるといわれています。胆石は胆のうだけにできるのではなく、肝臓と十二指腸を結ぶ「総胆管(そうたんかん)」や、また肝臓の中に石ができることもあります。胆石症の痛みは、胆のうの中で石が移動して、胆のうの出口の狭いところに詰まったときに平滑筋が収縮、痙攣(けいれん)することで起こりますが、石が抜けると、痛みが消えてしまうのです。本来、胆石症は進行しない限り良性の病変です。しかし、この発作が長引くと急性胆嚢炎(たんのうえん)、その症状が進行すると胆のうの腫れが強くなり、時には胆のうが破裂、広範囲の腹膜炎を起こし死に至ることもまれにあります。
時には激しい痛みを発症し、治療のタイミングを逸すると、まれに重篤な事態を招くこともある胆石症ですが、最近では検査の精度が進歩して、症状のない状態でも発見することが可能となりました。みぞおちの痛みなどの症状を感じたり、定期検診などで胆石症の疑いを指摘された場合、最も基本的な検査は腹部超音波検査です。この検査による診断率は胆のう胆石では90%以上で、無症状の胆のう胆石症も発見することができます。胆石の成分は最近は食生活の変化か、ビリルビン系胆石を抜いてコレステロール系胆石が70%と最も多くなっています。
胆石症の治療法は手術的方法と非手術的方法に分けられ、手術的方法は現在は「腹腔鏡下胆のう摘出術」が主流となっています。非手術的方法は「胆石溶解療法」「体外衝撃波破砕療法」などがあります。病期・病状により、さらにいろいろな治療法があるので詳しくはかかりつけ医にご相談ください。