指の腱鞘炎(けんしょうえん)「腱」と「腱鞘」

 手首から手のひら、指先にかけて「腱」というひも状の組織があり、この「腱」の働きで指を曲げたり伸ばしたりすることができるのです。
 「腱」が滑らかに動くように「腱鞘」というトンネルの中を「腱」が往復する仕組みになっていますが、「腱鞘」が狭くなると「腱」が滑らかに動かず擦れ合って指が痛くなったり、スムーズに伸びなくなります。この状態を腱鞘炎といいます。

■原因

 はっきりとした原因はよく分かっていませんが、指を使う仕事をする人や更年期以降の女性に多いため、長年の指の使い過ぎ、女性ホルモンのバランスの変化などが関与しているようです。

■症状

 指を伸ばそうとすると痛みがある。手のひら側の指の付け根を押すと痛い。引っ掛かった指を伸ばそうとするとばねが弾けるように指が急に動く(ばね指)。
 このような症状があるときは腱鞘炎が考えられます。特にばね指は腱鞘炎に特徴的な症状です。どの指にも起こりますが、親指が多く、次いで中指・薬指に多くみられます。

■治療

 指は安静にすることができません。ですが、指の痛みは日常生活に支障をきたすため、早く治したいものです。内服薬・外用剤(シップなど)でなかなか改善しない場合は、ステロイドという薬を直接「腱鞘」に注射する治療法も効果が期待できます。注射で効果がないときは手術(腱鞘切開)が行われます。あまり我慢せず、早めに治療を開始することが大切です。