人に感染するコロナウイルスには、主に子どもにみられるかぜのウイルス4種類と、動物から感染し重症肺炎を発症する2種類があります。今回、中国の武漢市で、重症肺炎を起こす新型コロナウイルスが見つかりました。また、日本を含む多くの国と地域で感染者が報告されています。
重症肺炎を起こすコロナウイルスは、2002(平成14)年に中国広東省でキクガシラコウモリから人へ感染し拡大したSARS(重症急性呼吸器症候群)と、2012(平成24)年にサウジアラビアでヒトコブラクダから人へ感染し拡大したMERS(中東呼吸器症候群)があります。いずれも、高齢者や糖尿病、慢性の心臓・肺・腎疾患などの基礎疾患を持った人に感染すると、重症肺炎を発症し、多くの人が亡くなりました。
現時点で新型コロナウイルスの感染経路は十分分かっておらず、人から人への感染例もあります。主な症状は発熱と咳・息切れなどの呼吸器症状です。治療法は、コロナウイルスに有効な抗ウイルス薬はないため、対症療法になります。帰国者や入国者からの二次感染拡大防止のため、咳エチケットや手洗いなど通常の感染対策を行うことが肝要です。また、早期発見と診断も重要です。発熱や咳・息切れがあり、14日以内に新型コロナウイルス感染症の流行地域から帰国したか、または新型コロナウイルス感染症の患者と濃厚な接触があった方は、必ず事前に最寄りの保健所あるいは医療機関に電話で相談し、指示を受けていただきますよう、よろしくお願いいたします。
昨年、中国から来日した方は960万人、中国へ渡航した日本人は300万人でした。今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、さらに多くの人が行き来することになります。新型コロナウイルスに限らず、テレビ・新聞やインターネットなどで感染症のパンデミック(世界的流行)の動向を注視してください。