サルとうとう(エムポックス)

 サル痘(エムポックス)は、サル痘ウイルスによって引き起こされる感染
症です。このウイルスは天然痘ウイルスと似ていますが、通常は天然痘よ
りも症状は軽度です。
 サル痘の主な症状は、発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、そして特徴
的な発疹です。発疹は最初、赤い斑点として現れ、その後水疱すいほう膿疱のうほうに変わ
り、最終的にかさぶたになります。発疹は顔から始まり、体全体に広がるこ
とが多いです。
 サル痘は、感染した動物(主にげっ歯類)や人との接触を通じて広まりま
す。感染動物にかまれる、感染動物の血液や体液に触れる、または感染者の
発疹や体液に触れる接触感染や飛沫感染が感染経路です。
 発熱や発疹などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関に連絡し、指示
を仰ぎましょう。サル痘の治療は主に対症療法で、症状を和らげるための
治療が行われます。一部の抗ウイルス薬が有効である可能性がありますが、
特定の治療法はまだ確立されていません。
 サル痘の予防には、感染者との接触を避けることが重要です。また、せっ
けんと水で手をしっかり洗いましょう。アルコールベースの手指消毒剤も
有効です。天然痘ワクチンがサル痘の予防に効果的であることが示されて
います。
 サル痘は通常、数週間で自然に治りますが、重症化することもあるため、
早期の対応が重要です。隔離期間は、症状が現れてから発疹が完全に治る
までで、一般的に2~4週間程度です。具体的には、発疹がかさぶたになり、
全てのかさぶたが自然に剥がれ落ちるまで隔離が必要です。医師の指示に
従い、症状が完全に治まるまで他の人との接触を避けることが重要で、こ
れにより感染の拡大を防ぐことができます。
サル痘が重症化すると、以下のような症状が現れることがあります。
● 皮膚の二次感染:発疹が細菌に感染し、うみがたまることがあります
● 気管支肺炎:ウイルスが肺に感染し、呼吸困難や咳がひどくなることがあ
ります
敗血症はいけつしょうウイルスが血液中に広がり、全身に感染が広がることがあります
● 脳炎:ウイルスが脳に感染し、意識障害やけいれんが起こることがあります
● 角膜炎:目の角膜に感染し、視力低下や失明のリスクがあります
 これらの症状は、特に免疫力が低下している人や小児、高齢者に多く見
られることがあります。早期の診断と適切な治療が必要です。