がん検診の目的は、がんを早期に発見して早期に治療を開始することに
よって、がんで亡くなる人を一人でも少なくすることです。
早期がんは症状がないことが多く、検診で初めて診断されることが多い
のですが、この段階で治療を開始できれば内視鏡など体にやさしい治療で
の治癒が可能です。一方、症状が出てから検査を受けるとがんが進行して
いることが多く、大きな手術や抗がん剤治療など体に負担のかかる治療が
必要となり、治療期間も長くなります。
がん予防には、禁煙など生活習慣の改善が大切ですが、それだけでがん
を完全に防ぐことはできません。がん検診の目的は、定期的に検査を受け
ることによって、自覚症状が出る前の早期がんを見つけて治療につなげ、
がんによる死亡率を下げることです。
がん検診でまず行われるのは、がんの疑いがあるかどうかをふるい分け
する(スクリーニング)検査です。ここで「異常なし」と判定されれば、基本
的には次回のがん検診を受ければよいでしょう。一方、「異常あり(要精密
検査)」と判定された場合は、がんの疑いがあると考え、精密検査を受けて
本当にがんがあるかどうかを調べる必要があります。
がん検診を受けて「要精密検査」と判定されても、「症状がないから」「が
んが見つかったら怖い」などと、精密検査を受けない人は少なくありません。
しかし、疑わしいときには精密検査を受けて確認しないと、早期のうちに
がんを見つけて治療する”というがん検診の目的を達成することができま
せん。がんの疑いがあれば、必ず精密検査を受けて確認してください。実
際には、精密検査を受けても「異常なし」「良性の病変」と判定される人の方
が圧倒的に多いのです。
また、がん検診で「異常なし」という判定であっても、その後気になる症
状が現れたら、医療機関を受診しましょう。