先天性耳瘻孔

生まれつき耳の外部に、ごく小さな穴があいている人がいます。穴は耳のあちこちにできますが、耳の前上方に最も多くみられます。先天性耳瘻孔といいます。
穴の入り口は、まったく気付かないほど小さいものや、穴の周りがへこんでいて、すぐ分かるものなどがあり、穴の中は袋状になっていて、奥行きも1~2ミリから1.5センチ程の長いものまであります。形状も単純な棒状のものから、蛸足状に枝分かれしたものなどさまざまです。

原因

家族内に発生することが多く、遺伝の関与が考えられています。胎生期に魚の鰓に当たる部分が消失せず残ったものです。発生頻度は欧米人の1~2%に比べ、日本人は5~10%と比較的高いといわれています。

普通は心配ない

穴の内面は皮膚と同じ構造で、皮脂腺や汗腺が存在し、袋状なので、脂や汗や剥がれた角質などが溜まりやすくなっています。時に、白い分泌液が外に出てくることもありますが、多くの場合、心配ありません。耳瘻孔を持つ人の大多数は、穴も小さく無症状といわれています。

さわり過ぎると腫れる

しかし、頻繁にさわることで指先などから細菌が侵入して炎症を起こします。
以前は春や夏に汗をかくことが誘因といわれましたが、今では冬でも過剰暖房などのため腫れやすくなるようです。また、穴が袋状なので「うみ」が溜まりやすく、再発を繰り返すことが特徴といえるでしょう。

頻回の再発には手術

耳瘻孔が炎症を起こしたときは、抗生物質や消炎鎮痛剤などを使います。ひどいときは切開排膿したり、繰り返す再発に悩むときは袋ごと摘出手術をしたりします。その傷跡は今では目立たぬように工夫されています。
症状が出たら、医師にご相談ください。