葉酸(ようさん)と妊娠

葉酸は細胞の分裂や成長、DNAの形成に関わりのあるビタミンB群の1種です。従って、人間の一生の中で、最も細胞分裂が活発で、成長し続けていく胎児にとっては不可欠なビタミンです。しかし、葉酸はビタミンB12、B6、Cがないと動かないという、わがままなビタミンなのです。

葉酸の多く含まれている緑黄色野菜、果実を取ると同時に、動物性の食品に多く含まれているビタミンB12、B6も取るように心がけましょう。

葉酸の摂取量は1日0.4ミリグラムが目安です。日常の食生活では、0.2ミリグラムが取られています。

葉酸は熱に弱く、加熱処理して摂取する場合は50%も減ずるとされています。

妊娠の計画がある女性および妊婦は、葉酸の含まれている栄養補助剤を服用したほうがよいでしょう。

葉酸の欠乏とその病態

葉酸の欠乏は赤血球の産生を障害し、貧血を起こすことが知られています。しかし、体内に貯蔵される葉酸の量は少なく、毎日補充しないと不足することも知られています。

経口摂取された葉酸は、膵液(すいえき)により消化され腸より吸収されますが、抗てんかん薬、アルコールなどの摂取は、この作用を阻害するため、可能な場合はそれらの摂取を中止するか、葉酸の摂取量を増やす必要があります。

葉酸の欠乏が妊娠に与える影響に関しては、妊娠初期に葉酸が欠乏した時、ごくまれに先天異常(無脳症、二分脊椎、口唇、口蓋裂など)を生じることが報告されています。妊娠中期以降では、妊娠中毒症、胎児発育不全などの症状が生じる場合があります。

栄養補助剤には、0.2~0.4ミリグラムの葉酸が含まれていますが、多く摂り過ぎてもいけません。通常1日1錠の服用で十分なのです。医師に相談しての服用をお勧めします。