「子どもがタバコを食べてしまった」「子どもがポットのお湯をかけてしまった」「体温計を折ってしまい、水銀を飲んでしまった」などの事故に関する問い合わせが、後を絶ちません。実際、3歳までに約50%の子どもが、事故により医療機関に相談したとの統計もあります。
皆さんは、日本の乳幼児死亡率の低さは、世界でもトップクラスであることはご存知でしょう。しかし、わが国では1歳から19歳までの死因のトップは事故死であり、しかも乳幼児の事故による死亡率の高さは、先進国の中でもトップクラスであることをご存知でしょうか?
子ども、特に乳幼児を持つ保護者の方にぜひ、事故に対して関心を持ってもらい、事故の予防に注意をしていただきたいと思います。
さて、1歳から19歳の事故死の内訳ですが、交通事故、溺死(できし)、窒息、誤飲と続きます。
交通事故を防ぐためにすぐできることは、チャイルドシートを着用させることです。6歳未満のほぼ半数、0歳児でも約70%しか着用していないとのデータがあります。着用した場合は、非着用の場合に比較して、致死率が約5分の1に減少することがわかっています。わずかな距離でも、シートベルトを忘れずに着用してください。
次に溺死ですが、0歳から1歳の溺死の8割は浴槽でおぼれています。特に浴槽の縁と洗い場の段差が50センチ以下の場合は、残し湯をしないでください。
最期に窒息、誤飲のお話です。子どもはなぜ窒息しやすいのか皆さんお分かりですか?
食べ物は食道に、空気は気管に行くように、喉(のど)の奥で交通整理をしている機能があります。しかし、乳幼児はこの機能が未熟なのです。また、4、5歳までの子どもは奥歯の発達が悪いため、食べ物を細かく砕くことができません。このような事情から窒息しやすいのです。
3歳以下の子どもには、ピーナッツなどの乾いた豆類や、ボーロ、飴(あめ)玉は与えないでください。また、歩きながら食べさせないことも大切です。口径39ミリの穴(OKのマークを親指と人差し指で作ると出来る円の大きさ)を通る物は、床から1メートル以上高いところに置いておくなどの予防行為が重要です。また、タバコを吸う保護者の方は、家では吸わないことです。いや、禁煙していただければベストです。
事故は、重要な健康問題なのです。子どもが事故に遭わない安全な環境を我々と一緒に作っていきたいものです。