緑内障も一般の方にかなり知られてきました。実際、「眼圧は?緑内障は?」と聞かれることも多くなってきました。また、すでに緑内障と診断されている人も眼圧を非常に気にされます。それほど緑内障と眼圧は密接な関係にあるわけです。事実、眼圧が高ければ緑内障の可能性が高いし、視野障害の進行も早いのですが、緑内障全体の約60%は眼圧が正常であることをご存知でしょうか。正常眼圧緑内障といい、「眼圧が常に正常範囲にありながら、緑内障性視神経乳頭の変化と視野異常を持つ疾患」と定義されています。
どうしてなるの?
「どうして緑内障になってしまったのですか?」緑内障と言われた時、こう思うのも当然かも知れません。しかし正常眼圧緑内障は、はっきりした原因がわかっていませんので、原因について詮索することは無意味です。ただ加齢に伴い有病率が高くなる事はわかっています。
どうすればわかるの?
眼圧測定・眼底検査・視野検査が必要です。ただし1回の検査で診断がつくとは限らず、「正常眼圧緑内障疑い」として経過を見なければならない場合も少なくありません。
どうしたらいいの?
緑内障というとすぐに失明すると思っている人が多いのですが、それは急性緑内障発作を除き緑内障に自覚症状がほとんどなく、末期になるまで眼科を受診していないとか、症状がないから途中で眼科受診を止めてしまった人の話です。特に正常眼圧緑内障は非常に長い経過をとる疾患なので、すぐに失明することはありません。まずは、基礎データを得ることから始めます。眼圧は日内変動といい、1日のうちでも変わりますので、できれば24時間、1時間あるいは2時間ごとに測るのがよいのですが、実際は難しいので診察の時間帯を変えたりして測ります。また、季節変動というものもあります。こうした眼圧や、眼底・視野をモニターしながら経過観察し治療をしていきます。治療される側も治療する側も根気が必要ですし、この基礎データを集めるため、診断を受けてからしばらく治療しないこともしばしばあります。
治療方法はあるの?
ある程度眼圧に依存するタイプと、眼圧に依存しないタイプがあり、決め手となる治療方法がないのが現状です。それでも眼圧を下げる事はプラスに作用することはあってもマイナスではないので、眼圧下降薬を使用したり、視神経保護に良いといわれる点眼薬を使ったりします。 内服ではカルシウム拮抗(きっこう)薬が視野障害の進行を遅らせるのに関与しているようです。手術は眼圧を下げる目的で行われるので正常眼圧緑内障が眼圧だけに依存しないことを考えると、リスクとの兼ね合いで慎重に検討する必要があります。