夜間などに、お子さんに熱が出てきて「インフルエンザにかかったかな」と思ったら、すぐに救急施設を受診しようとお考えの人も多いと思います。しかし、この考え方は大きな問題を含んでいるのです。「え?何それ?」と疑問を持った親御さんは、ぜひこれからのお話をじっくりと聴いてもらいたいのです。
現在、新型インフルエンザの患者さんが急増していることは、皆さんご存知の通りです。このような状況から、夜間の急病センターには、連日、大変多くの患者さんが押し寄せてきます。そのため、待ち時間が長くなり、重症者の手当てが遅れる危険性も出てきました。
また、あまりに多くの患者さんが押し寄せる中で、医療スタッフがかなり疲れてきている現実もあります。
そこで、市民の皆さんへの我々からの切実なお願いです。お子さんの症状が、比較的軽くて、元気であるなら、翌日まで待ってかかりつけの先生に診てもらうことで十分です。水分・栄養を取って、休養を取ることが最も大切です。中には、インフルエンザかどうか検査してほしいと来院する親御さんがいます。しかし、現在の検査では、発熱後24時間に満たない場合は、インフルエンザであっても、検査では、陰性になる場合がかなりあります。また、発熱後48時間以内にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を使用すれば、十分に効果があります。急いで検査する必要はないのです。ただし、喘息(ぜんそく)などの基礎疾患のあるお子さんの場合や、基礎疾患がなくても、呼吸が苦しそう、興奮して変なことを言う、すぐにウトウトしてしまう、水分が取れない、尿が出ないなどの場合は、すぐに医療機関を受診していただきたいと申し添えたいと思います。
このような点を十分にご理解いただき、夜間に救急センターにかかろうと思ったときは、本当に今、受診すべきなのか考えていただき、あわてず、急がず、場合によっては様子を見ていただくことも考慮していただくようお願いします。