がんと終末期医療

 日本が世界有数の長寿国であることは皆さんご存じでしょう。2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳で、いずれも過去最高を更新しました。多くの方が長生きできることは医療・社会制度による恩恵ですが、高齢化に伴いさまざまな問題も起きています。その一つが、がん患者の増加です。がんは日本人の死因の第1位であり、約3分の1の方ががんで亡くなっています。また、日本人の2分の1が生涯に1度はがんと診断されています。

 過去の研究により、胃がん・肺がん・乳がん・子宮けいがん・大腸がんの5つのがんは、検診により早期に発見できる可能性が上昇し、治療を行うことで死亡率が低下することが証明されています。検診などで早期に見つけられれば、がんは怖い病気ではありません。もし精密検査が必要と判定されたら、早期がんを見つけられるチャンスと考え、必ず2次検査を受けましょう。

 しかしながら、不幸にして、がんが発見されたときには既に治療不可能な状態である場合もあります。そのときに直面する問題が、人生の最期をどこで過ごすかということです。日本では、昭和40年代までは自宅で亡くなる方が50%以上でしたが、現在は12%程度で、多くの方が病院で亡くなります。入院医療を信頼している方が多いためですが、最期は自宅で過ごしたいと考える方もたくさんいます。松戸市は在宅医療先進地域で、人生の最期を自宅で過ごしたいという方の要望に応えるため、医師会・介護保険事業所・市役所などが協力して体制を作っています。「人生の締めくくり方を自分で決める」ためには、医療に関する正しい知識が必要です。そして、正しい知識は看取みとられる側だけではなく、看取る側にも必要です。

 子どもを含めた全ての市民に正しい知識を伝えるため、松戸市医師会と市教育委員会が協力した健康教育事業「まちっこプロジェクト」が、市内の小・中学校で始まっています。今年度は「いのちの尊さ」と「認知症」について授業を行い、その活動報告会を下記の日程で行います。「医師が行う健康教育授業ってどんなもの?」と興味を持たれた方は、ぜひご来場ください。

まちっこプロジェクト報告会
2月25日(日)14時~16時40分 会場 市民劇場 費用 無料
<お申込み>当日会場で
<お問い合わせ>同プロジェクト事務局 ☎ 369-1248