一昨年のこのコラム(2018年8月15日号)で熱中症に対しての注意点をお伝えしましたが、今年は新型コロナウイルス対策でマスク着用や換気で窓を開けなくてはいけないという状況下で、いつもの夏よりさらなる注意が必要です。今回は特に上手な水分の取り方に関してお話しします。
熱中症は体温の上昇や脱水を抑えることで予防することができます。成人の場合、体重の約60%が水分ですが、体重の約2%の水分を失うと喉の渇きを感じます。約3%の水分を失うと食欲不振、イライラ、ひどい疲労感や倦怠感が起こります。約5%以上の水分を失うと、言葉がはっきりしなくなる、呼吸困難、ふらつき、けいれんなどの症状が現れます。通常1日に摂りたい水分量は乳幼児を除いて500~1000mlと言われています。
高齢者の場合、就寝中のトイレを避けるため、夜間の水分摂取を控えがちですが、夏場は熱中症対策としてしっかり水分補給をしましょう。また、高齢者は喉が渇いていなくても、起床時・入浴前後などにコップ一杯の水を飲むなど、こまめな水分補給を心掛けましょう。
ビールなどのアルコール類、緑茶・紅茶・コーヒーなどカフェインが含まれるものは利尿作用があり、熱中症対策の水分補給には向いていません。
脱水になると水分とともに電解質(特にナトリウム)が失われます。水分と電解質を速やかに補うためにスポーツドリンクや経口補水液の摂取も有用です。スポーツドリンクは経口補水液よりも電解質濃度が低く糖質濃度が高くなっています。通常の水分補給であればスポーツドリンクで十分ですが、軽度から中等度の脱水状態になってしまったときは、経口補水液が適しています。飲料の温度は体温に近いものが望ましいのですが、水分補給が苦痛にならないよう飲みやすい温度(冷やすなど)にしても構いません。
しっかりと水分補給をして暑い夏を乗り越えましょう。