圧迫骨折(いつの間にか骨折)大丈夫ですか?

 腰や背中の骨(腰椎・胸椎)の椎体という部位が潰れるように折れてしまう状態を圧迫骨折と言います。その原因として最も多いのは骨粗しょう症で、高齢者や女性に多い傾向があります。

 圧迫骨折を起こす状況は2つあります。1つ目は、転倒して尻餅をついたり、急に重い物を持ち上げたりして椎体に衝撃がかかったことで起こる場合です。これは急激に強い痛みがあるため症状がわかりやすいタイプです。

 2つ目は、骨粗しょう症で骨の強度が低下し、もろくなっている椎体に自分の体重などがかかり少しずつ骨が潰れていくタイプです。これは特に衝撃もなく痛みを伴わない場合が多く、自分で気づかずに圧迫骨折が進んでしまうため「いつの間にか骨折」と呼ばれており、注意が必要です。

 骨粗しょう症による圧迫骨折の多くは胸椎と腰椎の間の移行部に起こります。一つの椎体に骨折が起こると、その上下の椎体にもドミノ倒しのように骨折が拡がってしまうことがよくあります。症状が無いため気付かずに放置していると、背骨の変形が進み、背中や腰が曲がり、猫背になってしまいます。背中を伸ばせない、背中全体の痛みや重苦しい感じ、身長が縮んだなどの症状は隠れた圧迫骨折のサインです。そのままにして変形が進むと胃腸・肺・心臓などの内臓が圧迫されて吐き気や腹部膨満感などの症状が出ます。肺や心臓が圧迫されると息苦しさや呼吸がうまくできないような状態が起こります。

 圧迫骨折がいくつも起こると、寝起きや体動時に慢性的に痛みが続くようになるため、体を動かして外出するなどの意欲が低下してしまい、寝たきりや引きこもりの原因となります。自分の体調や症状、姿勢と向き合って、何か疑わしいことがあったら医療機関でチェックしましょう。

 「いつの間にか骨折」を早期に発見し、適切な対処をすることで、いつまでも健康な自分を維持しましょう。