薬の“のみ残し”はありませんか?

 処方された薬をのみ残してしまった経験がある人は多いのではないでしょうか。なぜ、のみ残しは出てしまうのでしょうか。「うっかりのみ忘れた」ということもあるでしょう。生活習慣病の薬などでは、その1回で大きな問題が起こることはめったにありません。ただし、のみ残しが度々あるようなら、放っておくのはよくありません。

 高齢になると、さまざまな理由で指示どおり薬をのむのが難しくなることがあります。そういった場合は、その理由に応じた対策が必要です。例えば、薬の種類が多いためにのみ忘れやのみ間違いが生じているなら、いつ、どの薬をのめばいいのかがわかりやすい「お薬カレンダー」や「お薬ケース」などを利用する方法や、薬局で1回分ずつ袋にまとめてもらう「一包化いっぽうか」を頼むという方法もあります。

 「1日3回のむ薬の、昼の分だけ忘れてしまう」「朝はのみ忘れないが、夜に忘れがちになる」など、のみ忘れのパターンがあれば、医師に相談して忘れにくいのみ方に処方を調整してもらうのもいいでしょう。のみ忘れではなく、嚥下えんげ機能が低下していて錠剤などがのみにくくなっていることが原因であれば、剤形の変更や服薬用ゼリーの利用など、必要な薬をうまくのめる方法を探ることが大切です。

 薬ののみ残しがある場合は、まずそれを医師や薬剤師に伝えて相談してください。「薬をきちんとのんでいないことを医師に言いにくい」という人もいるかもしれません。でもそれを伝えないと、医師は「患者さんは処方どおりに正しくのんでいる」と考えて診察するので、病状や薬の効果が正しく判断できなくなります。「この薬は必要ない」「少し減らしても大丈夫」と自己判断での中止や変更をしているケースもしばしば見受けられます。もしそのように考えた場合は、しっかりと医師に伝え、お互いにその薬の必要性について確認することが大切です。